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【葛葉ライドウ】無茶しやがって……AA（ｒｙ【アバドン王】

萬年町

ビンボウガミ（M）を倒すと
周囲に変化が訪れる。
どうやら現世の萬年町へと
戻ってきたらしい。

「しかしながら……
魔人さえもしのいでくれるとはな。
うぬのような者が後進に在る幸運を
素直に喜んでやる」
と、ぬこ。
お褒めに預かり光栄でっす。
「……感じるか？
町に渦巻いていた瘴気が消える……」
神隠しに遭った人たちも
無事に戻ってこれたらしく、
声が聞こえてくる。

ガキもどきになった人たちも
戻ってこれてるよね。
ライドウの攻撃は、全て
峰打ちだったとし、信じたい……。

健太君の声が聞こえてくる。
「どこいってたんだよぉ！
……父ちゃんのテッポーだま！」
「健太……？おめぇ……
ライドウさんは？
父ちゃんな、さっきまで……
ライドウさんと一緒に……」
「……父ちゃん、ねぼけてる？
それともおなかすいた？」
「……そうだな、腹ぁ……減ったよな。
帰ってコロッケでも……おぉ？
コロッケだ……
俺っち、コロッケ持ってるよ……
じゃ、じゃあ……
ありゃ夢なんかじゃなかっ……！」
「……どしたのさ？父ちゃん。
帰るよ、コロッケ食べるんでしょ？」
「健太ぁ……ありがとな。
ライドウさんも……」
( ；∀；)ｲｲﾊﾅｼﾀﾞﾅｰ

「さて……
あとは辰巳だな。
奴から弾のことを聞き出さなくては」
動揺している辰巳に話を聞く。
「帰れよ……僕に何したって無駄さ。
僕は助かる……ツキまくりの辰巳だからな……」
まあまあ、そう言わずに。
ちょっと虫について話を聞きたいだけだから。
「虫のことまで探られてる……
君、ただの書生じゃないな？
……もしや！君が、あの噂の……？
き、君は一体……何者だ!?」
一介のデビルサマナーです☆
辰巳は自分を追っていた書生の
正体に驚愕する。

「ライドウに目をつけられていたなんて……
八方ふさがりだ……ツイてない！
虫のことは……僕はよく知らない。
も、もらい物だからね。
前に……ほら、君も見ただろう？
仮面を被った連中に、もらったんだ……」
ほほう。
仮面の男たちにねぇ。
「ぼ、僕が悪いんじゃないぞ！」
逆ギレすんなwwwww
辰巳は仮面の男達に
そそのかされたそうだ。
虫を使い、他人の幸運を
奪うことが出来るらしい。
「これだ、これに虫が入ってる。
この虫かごに虫が入ってるんだ」
と言い、辰巳は赤い箱を取り出す。
そういえば仮面の男たちも
こんなのぶら下げてたっけ。

「あぁ、そういえば……
仮面の男たちと一緒に、たしか……」
辰巳はふと思い出したこのように
つぶやいた。
弾さんの写真を見せると、
「そ、そうだ……そいつ！
いたぞ！確かに一緒だった！
仮面の男たちに虫もらったときに
そいつも一緒にいた……！
それで俺、言われたしな……
「オレらのことは誰にも喋るな」って……」
死亡フラグ全開すぐる……!!
自分でも気づいたらしく、
辰巳はライドウに助けを求める。
こんだけ死亡フラグ立ちまくりなのを
見捨てるのはねぇ……。

「よ、よかったぁ！やっぱり！
やっぱり俺ってばツイてるぅ！
じゃ、じゃあとっておきの情報やるよ。
……弾の正体を教えてやる」
ってバカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
おまwwwww
これ以上喋ったらwwwwwwwww
「仮面の連中に手出ししたってことは、
あの弾にケンカしかけたのと同じだよ……
いいか？弾ってのはな……
弾ってのは……ふ……？
……くぅ……うぉ！？　
……ぉあ？」
ああ……。
辰巳の体が閃光を放つ。
「あぁ……暑い……ってより、熱いぞ？
俺……やべぇ……死ぬのかなぁ……？
……あ！死んじまえば……そっかぁ！
仮面の男たちからは助かるもんなぁ……！
やっぱり俺ってばツイてるぅ！
ツぅキまくり……ツぅキまくりぃぃ……」
その言葉を最期に辰巳は消えてしまう。
し、死んだ……？
無茶しやがって……AA（ｒｙ

「……もう少しで弾の素性が
明らかになったものを……！」
と、ぬこが口惜しげにつぶやく。
そして辰巳がいた場所に
何かが落ちていることに気づいた。
「あれは……？
辰巳が持っていた、
虫かごの破片だな……」

鳴海探偵社

探偵社に戻ってきたライドウは
鳴海さんにこれまでの
捜査状況を話した。
「……確かに困ったねぇ。
辰巳が消えちまったとなると……。
これか？さっき話してくれた、
辰巳が持ってた虫かごの破片ての……
ちょっと貸してくれる？」
そう言って鳴海さんは
虫かごの破片を手に取り、
いろいろな角度から眺めている。

そこへ扉が開く音と共に
タヱさんがやってくる。
「こんにちは……って、鳴海さん？」
しかし鳴海さんはタヱさんの来訪
にも気づかないほど集中していた。
「…まぁでも仕事熱心なのは結構よね。
許してあげる……」
タヱさんは神隠し事件が解決した
ことを報告しに来たのだった。
「でも結局、辰巳は行方知れずってことで……
神隠し事件は迷宮入りって幕切れで……」
「ちょっと見てよ、ライドウ！
ここんとこ、ちょっとだけ……
あれ、タヱちゃん？
いつからそこに……？」
何かに気づいた鳴海さん。
タヱさんの存在にも今更気づく。
「……とんだごあいさつねぇ、鳴海さん。
この朝倉葵鳥に向かって……
まぁいいわ、お忙しいようだしね。
珈琲、向こうで勝手にもらってるから」
そう言ってタヱさんは自分で珈琲を
淹れに行く。
「ここはカフェーじゃないっての……
……あぁそうだ、それよりもライドウ。
さっきの破片を組み立てたら……」
鳴海さんは組みあがった赤い
虫かごの底面を見せる。
「ここんとこって
……なんかの模様に見えるだろう？」
鳴海さんの言うように底面には
家紋のような円状の模様が
刻まれてあった。
「この模様を見て、俺……思い出したぜ。
聞いたら、きっと俺を尊敬するぜ？
……消えてしまった辰巳に代わる、
弾の情報源にも通じることだからな
……詳しい話は捜査会議でさせてよ。
俺も捜査の状況を把握しときたいしね」

捜査会議

「……やばいな、今日の俺は冴えてるぜ。
捜査会議をしてて、また思い出した……
俺な、この虫かごの模様……
なんかの文献で見たことあるんだ」
鳴海さんが言う。
「……この虫かごの模様は名前は
天斗紋って言ってな……」
「天斗紋……!?」
今まで沈黙していたぬこが
その名に反応する。
「俺もそんなには詳しくないんだけど、
天斗紋ってのは……
槻賀多（つきがた）って旧家があって
そこの家紋ってことらしいんだ」

「な、なんですってぇ？」
鳴海さんの話に反応した者が
もう一人いた。
台所から声が聞こえてくる。
「今……言ったわよね？鳴海さん？
「槻賀多」って言ったわよね？」
「……知ってるの？タヱちゃん。
槻賀多家のこと」
「知ってるも何も……
各界の要人が不可解な死に方をした事例が
昔からいくつもあるんだけどね……
そんな類の事例を探っていると……
大抵、名前が出てくるのよ……
「槻賀多」って名前がね……」
「槻賀多」の名を口にすると
妙な出で立ちの男達に殺される……。
「槻賀多家には関わるな」
新聞記者達の間での暗黙の了解らしい。
「そんな槻賀多家の天斗紋が
帝都で見つかっちゃうなんて……あたし……
あぁ……あたし……」
タヱさんはうつむき黙り込んでしまう。
そんなタヱさんに鳴海さんは、
「……そうだよな、帝都のそこかしこに
不気味な連中がいるかもってなったら……
オチオチ、その辺も散歩できないよな？
とくにご婦人は……
でも心配するなって、タヱちゃん。
ライドウがいるし……いざとなれば俺も……」
「……あたし！
興味津々！槻賀多家に興味津々よぉ！」
満面の笑みではしゃぐタヱさん。
こらこらwwwww
さっき自分で「「槻賀多家には関わるな」は
暗黙の了解」って言ったじゃん！

「はい……？( ﾟдﾟ)」
「民間伝承上の、噂話の域を脱してなくて
実在しているか否かも怪しい槻賀多家……
でも帝都で天斗紋が見つかったのよ？
これって槻賀多家が実在するっていう物証！
物証ってのは嘘をつかないの。
これ定説……おわかり？皆さん？」
「それはもう……ごもっともです」
まくし立てるタヱさんに
鳴海さんは気圧される。

タヱさんが言うには槻賀多家は山陰地方に
あるらしい。
あまりに帝都から離れているため
思わずたじろいでしまう鳴海さんとは
裏腹に、
「あたし、山陰地方に取材に行くわ！
絶対に槻賀多家を探してやるんだから！」
と意気込むタヱさん。

そんな２人をよそに
ぬこが忠告する。
「槻賀多家の痕跡が帝都で見つかった。
我の取り越し苦労であればよいのだが……
……この先、用心を怠ってくれるなよ？
…………」

槻賀多家とは
葛葉と同じく、ヤタガラスの傘下で
特異な任務を担う暗殺集団、
第八巫蟲衆に所属している
一族なのだという。
そして、その仮面の男たちと
弾は行動を共にしていたと辰巳は言う。
茜に依頼され、ライドウ達が探す「弾」と
巫蟲師の一族である「槻賀多」……
と弾との間にどのような関係が
あるというのだろうか。

「そして、そのような弾を捜すよう
我らに依頼してきた茜という女……
……その真意が測りかねる。
なんとも、ひみつめいた女よ……」