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【葛葉ライドウ】お前らの目は節穴ですか!?【アバドン王】

さて、なにをどうするんだったっけ。
ぬこ先生の探偵手帳を読む。
ふむふむ。萬年町と銀座町と晴海町か。


萬年町
殺人現場ってどこだろ……。
迷った＼(^o^)／
木暮さんが佐竹の兄ぃの指示で、
「虫は桜田山に来る」と吹聴してる。
先に佐竹の兄ぃのとこに行くべきなのかな。
万年町は兄ぃのシマだしね。
兄ぃは風間刑事に頼まれて
「虫は桜田山に来る」という話を
広めているらしい。
捜査の一環かしらん。
うーん、風間刑事ってけっこう切れ者？

人から話聞くだけでいいのかな。
もう次行って大丈夫？
ああもうフラグ立ってんだか立ってないんだか。


銀座町
銀座は相変わらず凄いなぁ。
モダンだわ。
なんで今の建物はこうじゃないのかと
小一時間問い詰めたい。
それはまあ置いといて、聞き込み聞き込み。
これって殺人現場自体はどうでもよくて、
各町にいる巡査に話聞いていけば
いいのか？
巡査の話では、被害者は針のような物で
毒物を注入され、切り刻まれていたらしい。
それと、化け物を目撃したという巡査も。
次行っていいかな。


晴海町
港町晴海町。
海なんか人生で数えるくらいしか
見たことないわ。
巡査の話を聞くも被害者の
共通点が中年齢の裕福層というもの以外
目新しい情報はなかった。
ただいまおとり捜査中らしい。
「虫は桜田山に来る」と偽情報を
流していたのはそのためか。
じゃあ噂の桜田山、行ってみますか。
晴海町抜けた先だしね。


桜田山
「よう、ご両人。
今日は、よくよく縁があるじゃねぇの？」
ライドウ達が桜田山に向かうと、
登山口で風間刑事が立っていた。
「風間さん？何で桜田山に……？
夜勤明けで帰ったんじゃ……？」
鳴海さんが問う。
「どうもこうもねぇよ。
……ほれ、俺がお前たちに頼んどいたろ？
例の連続殺人事件……進展あったって
緊急招集くらっちまったよ……」
「あらまぁ、お疲れのところに……。
ツイてないですねぇ」
「事件の現場に落ちてる木の破片が
『虫かご』だってわかったんだ……」
風間刑事は続ける。
「その虫かごを調べていったら……
高値で取り引きされてるらしくてよ。
たかだか虫かごに大枚はたくなんてなぁ。
……ちょっと普通じゃないぜ。
警察部は虫かごがらみの強奪事件が
連続殺人事件にからむとにらんだ。
関東黒羽組ご協力いただいて、
『桜田山で虫かごの取り引きがある』と……
……情報操作を依頼したんだ。
オトリのモンが、この先で待機してるよ」
「警察部と関東黒羽組の共闘か……。
なんか大掛かりですね？」
「……だろ？俺が佐竹に口聞いたんだぜ？
夜勤明けのしんどい体ひきずってよ……。
……ったくよ、誰だ？『虫かご』のこと
突き止めやがったのは……？
そいつのせいで寝そびれた！
あぁツイてねぇ！腹が立つ！」
サーセンwwwww
「……酷い奴がいるもんです」
苦笑いする鳴海さん。
と、その時。
「だ、だれかぁ！だれか来てぇ！」
女性の叫び声が響いた。
「なんだ……？」
鳴海さんは怪訝に声の方に目を遣る。
「この先には、たしか……
オトリ捜査の婦警と護衛がいるはず……。
なんかあったのか？」
と風間刑事。
……なんかいるんですけど。
「なんかあったのか」っておま……!!
お前らの目は節穴ですか!?
なんかものっそいでかいのいるんですけど!?

「だ、だれかぁ！だれか来てぇ！」
婦警の悲鳴にライドウが駆けつける。
「あいつは……？」
ぬこは眼前の巨大な黒い虫を見上げる。
「あ、あぁ……よかった！
そ、そこの僕……！
バ、バケモノよ……バケモノが来て！
うちの署の人間、殺されたわ！
ね、ねぇ……お願い！
男の人を呼んでぇ……！」
ライドウは「男」じゃないのか。
ていうか「僕」て。
「この我も見たことのない手合い……。
……用心を怠ってくれるなよ」
ぬこがライドウに声を掛ける。
しかしライドウの意識が突如遠ざかった。
ま　た　か　。


おなじみの謎空間で目が覚めるライドウ。
ライドウの目の前には、シナド面を被った
チョッキ姿の男が立っていた。
「『ライドウ』の姿を借り、
この光景を見てくれている……
……そう、そこにいる……君たちだ。
君たちに聞いてもらいたいことがある」
君たちとな？
「こんな残酷なことを告げる
俺の『憂い』を……わかってほしい……。
……君たちが見た黒いバケモノの名は
アポリオンって言う……。
残念だが……今はアポリオンには勝てない。
……勝てない喧嘩は、やるだけ損だ……」
え？急にそんなこと言われても。
「もしかしたら倒す手段を得る前に
君たちがアポリオンと遭ったことも
帝都の運気が……
不運に傾いちゃったせいなのかもねぇ……。
けどアポリオンに会っちまった不運には
あらがって見せてくれよな……。
不運に『あらがう』ことを
理解してくれた……
君たちになら、
俺は賭けてもいいぜ。
いいな？最後に勝ちゃいいんだ。
今はアポリオンに勝ちをくれてやりなよ。
いずれ君たちがアポリオンを乗り越える、
その将来に期待してるぜ……」


「アポリオンだと……？」
ライドウの口からこぼれた
単語を拾うぬこ。
ぬこが驚き問うも
アポリオンの威嚇に
「雑談に興じている場合では
ないようだな……。
アポリオンは我も見知らぬ手合い……
ゆえに得体の知れない脅威がある。
心してかかれ……。
……行くぞ！」

アポリオンは、鋭い歯を噛み鳴らし
ライドウを威嚇している。
えーと。どうすればいいの？
勝てない仕様のイベント戦闘？
ていうかこいつ眼鏡掛けてるみたいに見える。
ってあれ？攻撃無効……。
やっぱりイベント戦闘？
って、あ。
アポリオンの攻撃で吹っ飛ぶライドウ。
ぬこが驚愕する。
「な、なんだと！
攻撃が効かぬというのか!?
しっかりしろ。
おい……！」

「こ、攻撃が効かないだと……!?
万事休すか……!?」
その時、突如アポリオンがその巨体を
小刻みに振るわせ始める。
そして何かに誘われるように
飛び去って行った。
「どういうことだ……？」
ぬこが呟く。
ライドウは前方に視線を感じた。
「……また会えたね」
視線の主は、あの金髪の青年だった。
急に出てくんな。びっくりするから。
「アポリオンを見てしまった君ならば
この話をしてもいいのかもしれない……」
そう言って話し始める。
「帝都の運気が運喰い虫によって
不運に大きく傾いたことにより……
……不運による災厄に見舞われ続けた
帝都の人々は……絶望しつつあるようだ。
神が創った……この世界に、
帝都の人々は絶望しつつあるようだ……。
アポリオンとは
人々の神への絶望が『鍵』となる……
底無しの淵より出でるという。
君が見たアポリオンこそが……
……帝都の人々の
この世界への絶望の証なんだ……。
君も、よく知る……あるものの行動がだ。
あるものの『希望』に満ちた行動が
皆の『絶望』の『きっかけ』となり……。
神が創った、この世界に……
アポリオンを招き入れてしまったのだ。
人々が『神の言葉』を語った書物に
『イナゴが人々に苦痛を与える』と在る。
……アポリオンの姿は、
イナゴに似ていたとは思わないかい……？」
鳴海さんたちがライドウに近づいてくる。
その瞬間、青年は最初からいなかったかのように
消えてしまった。
「……ライドウ！
なんなんだ？
今の……飛んでいったのは……？」
「ひでぇ……あちこち切り裂かれてやがる。
……他の殺人事件の仏さんと一緒だ。
なぁライドウちゃんよ。
ここでなにがあったんだ……？」


「なるほど……その、アポリオンに、
こいつらがやられちまったと……」
風間刑事はライドウの説明に得心する。
「殺人の手口の凶悪さや残忍性……
『空を飛ぶバケモノ』の目撃証言……
諸々、考えてみるとよ……こりゃあ、
帝都の連続殺人事件の犯人……
犯『人』じゃねぇが……連続殺人事件は
あのイナゴみてぇなバケモノ……
帝都の連続殺人事件は……
アポリオンの仕業だって断言するぜ！」
「……運喰い虫と殺人事件の関係を捜査して、
イナゴのバケモノに当たるなんてな」
そう言って鳴海さんはライドウに顔を寄せる。
「……ライドウ、言ってたよな？
アポリオンには攻撃が効かないんだろう？
まずは敵のこと……アポリオンを調べないと
どうしようもないぜ……。
事件解決の『きっかけ』って……
どっかに落ちてないもんかねぇ……？」

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