【葛葉ライドウ】よろしくないです。【アバドン王】
プレイ範囲:鳴海探偵社(捜査会議前)
諸事情があってTF4がプレイできません。
まあ、ぶっちゃけ、
PSP会社に忘れました。
衝動的にPSPとTF4買いにいこうとしましたが、
なんとか踏みとどまりました。
しかしPSPがないと落ち着かないな……。
お風呂でゲームしたりネットしたり
音楽聴いたり出来ないし……。
代わりに本読んでるんですが、
濡れないように気を使わないといけないのが
めんどいです。
運喰い虫に幸運を喰われたことで
帝都の運気は「不運」に大きく傾いた。
「不運」による災厄の連続によって
帝都の人々は絶望してしまったという。
神……すなわち、
神が創ったこの世界に。
この世界とは異なる次元の世界に
人の内に宿る腑の感情、
「絶望」だけが渦巻く世界があるらしい。
その世界は深淵世界と呼ばれているそうだ。
にわかには信じられないが
深淵世界の門が帝都の空で開き、
そこからアポリオンの大群が
やって来てしまっている現実と
そしてアポリオンになす術もなく
踏みにじられていく帝都の現状を見れば
深淵世界の脅威というものを
受け入れるしかないだろう。
この帝都の「絶望」的な現状は
弾の「希望」に満ちた行動が原因だった。
運喰い虫は幸運をくって腹が一杯になると
槻賀多村の天斗永君堂に帰り、
そこでポジトルヲと呼ばれる巣の中に
幸運を溜める習性があるらしい。
ポジトルヲが、まん丸になったときに
すべてを破壊する蟲、
すなわちアポリオンが空から落ちてくる
ということだった。
弾の目的は「蟲」のアポリオンを
「巫蟲師」として仕切ること。
アポリオンを仕切る「王」。
それが弾の目指したアバドン王だった。
アポリオンは天斗の一族が崇める
「かか様」の使いなのだという。
「アバドン王」になって「かか様」に並ぶことは、
槻賀多村の「神」を名乗り、
蟲の譲渡を逆手に取った天斗の一族……
その天斗の一族の言いなりの境遇から
槻賀多村を解放する「希望」であり、
天斗の一族の種を残すため生贄にされる妹
……茜の将来を救う「希望」だったのだ。
だが皮肉にも弾の槻賀多村の人々や
茜を救うための「希望」に満ちた行動が、
帝都の人々に「絶望」をもたらせてしまった。
そして弾もまた帝都の「絶望に」に
「責任」を感じて、自分自身に
絶望してしまっている……。
桜田山 ラジヲ塔
「……アバドン王ってのぁは……
あの……空の赤い穴ぁ……
深淵世界の門から来るっつぅ……
世界の連中が絶望する『きっかけ』……
そんなモンが……
アバドン王だったなんてよ……。
オレぁ……そんな大変なモンを
帝都に呼んじまったってのか……?」
弾は自分が起こしてしまったことの
あまりの重大さに打ちひしがれてしまっている。
「オレが呼んだアポリオンがぁ……
帝都で暴れてやがるぅ……
それに親父殿や……村の連中や……
茜もぉ助けらんねぇ……。
掟を破ってぇ運喰い虫を持ってったのも……
なんもかんもぉ……全部ぅ……
オレの空回りだったってのかい……?
なんてこったぁ……わ、笑えねぇ……」
「弾……」
鳴海さんも弾の自嘲に声を掛けられない。
「あぁ……こんなオレぁ……もう……はは……
世間様に顔向け……できねぇよ……。
いっそ、こんままぁ……
消えちまいてぇ……」
そんな中、ライドウが突然よろめく。
ライドウは、意識が遠のいていくのを感じた。
ちょ、空気読めよ。
はい、お馴染みの謎空間です。
マジ空気読めよシナド様よぉ。
ライドウの眼前にはシナドの面を被った陣羽織姿の
男が立っていた。
男は項垂れている。
その男の側にシナドの面を被った
チョッキ姿の男が現れた。
チョッキ姿の男が言う。
「そんなに自分を責めるなよ、弾。
深淵世界の門を呼んだことが……
お前なりの将来を掴む『行動』なら……
お前の『行動』に間違いなんてな……」
その言葉を遮るようにライドウの目の前で
シナドの面が反転した。
「憂い」を含んでいた
シナドの面が「怒り」に満ちた形相に
変わったように思える。
シナドの面を被ったチョッキ姿の男が
ライドウの目の前に立っている。
男が被っているシナドの面は
「怒り」に満ちた形相に見える。
「遠まわしに言っても駄目だろうから
俺はズバって言うぜ?弾。
なんてことしてくれたんだぁ?
深淵世界の門なんて開きやがってよ。
お前の『行動』のせいだ。
お前が将来を掴もうなんて思わなけりゃ……
なぁ……帝都の惨状を見てみなよ。
どう落とし前つけてくれる?
……え?『アバドン王』さん」
そこへさらにシナドの面を被った
モダンガールが現れる。
「ねぇ弾さん……じゃなくて、
『アバドン王』って呼んだほうがいい?
茜さんや槻賀多村の将来のために、
帝都に深淵世界の門を開いた……
そんな自分の『行動』のせいで
自分が絶望するなんて……滑稽よ」
このリンチ、いつまで見てればいいの……('A`)
そろそろ割って入りたいんだけど……!
「確かに……返す言葉もねぇよ。
おめぇらの言うとおりじゃ……
『行動』して苦しい思いをすんならぁ
なんもしねぇ方がいいかもな……。
茜ぇ……兄ちゃん……
なんか疲れちまったぁ……
……先ぃ逝っとぅわ。
あの世で会おうぜ……」
ちょ、こらこらこらぁぁぁぁぁ!!
ねぇ、そろそろ割って入りたいんだけど!!
突如眼前の3人の姿が消え去り、
シナドの面を被った書生が独り立っていた。
「……ここまで『ライドウ』の姿を借り、
この光景を見てくれていた君に……
最後だ……これから君に告げる言葉が……
この『憂い』た顔で告げる……
最後の言葉になる……。
深淵世界の門が開いた……
人の子が……絶望しているのだ……
人の子の絶望……すなわち……それは……
人の子の……神が創った世界のへの……絶望……
人の子は神が創った……この世界で……
将来を……見ることが出来なくなった……
将来への『希望』を見失った人の子は……
人の子の……末路は……!
……!?」
シナドの面を被った書生が倒れる。
「す、すまない……どうやら……
限界の……ようだ……間もなく……
間もなく……
我が『怒り』の分身が……顔を出す……
人の子の絶望が……呼んだ……
我が『怒り』の分身が……
……願わくば、『ライドウ』を継いだ……
君が……『希望』に!
人の子の……『希望』に……なっ……」
倒れた書生を見下ろすようにもう1人の
シナドの面を被った書生が現れた。
書生は倒れている書生を踏みつけている。
「……お前だな?
我が『憂い』の分身とやらが見つけた……
『希望』とやらは……
『ライドウ』の姿を借りて
この光景を見ることになってしまった……
不運の者よ……。
お前の不運の『きっかけ』は……
お前が『ライドウ』を継いだことだ。
この世の中での『行動』は
すべて無意味だとも知らずにだ……。
……『希望』にすがるから
『絶望』してしまうのだ。
この世のすべての『希望』は……
『絶望』の『きっかけ』と知れ。
……この足元でもがく者の無様な姿が
それを物語っているぞ……」
踏みつけられている書生が小さく呻く。
「だが安心してくれていい。
この『怒り』の姿もまた、
お前への『救い』にならんと来たのだ。
お前に『救い』の言葉を
くれてやろう……。
これ以上『ライドウ』の姿を借り、
この光景を見ようと考えるな。
……いいな?お前は帰るのだ。
この光景の続きを見ても……
お前は『絶望』するだけだ。
好んで『絶望』することもあるまい?
『ライドウ』を捨てるのだ。
今すぐこの光景から目をそらすのだ。
『ライドウ』を捨てるのだ。
それが、お前の『救い』になる……。
いいな?『ライドウ』を捨てろ」
……イドウくん?
ライドウくんってば!
「……あ、起きた!
よかったぁ……ライドウくん。
呼んでもなかなか目ぇ開けてくれないから……」
タヱさんがライドウの顔を覗き込んでいる
ライドウが目を覚ますと、そこは鳴海探偵社だった。
鳴海探偵社
「鳴海さんに聞いたわ、ライドウくん……
桜田山のラヂヲ塔で倒れたんだって……?」
「おぅライドウ、目ぇ覚めた?
ちょうどいい、お前も一杯どう?」
鳴海さんが軽い調子で言う。
「久々に珈琲を入れたぜ。
切らしてた豆は金王屋さんから仕入れた。
鳴海ブレンド初体験のお客様のために
今日のは胸によりをかけたんだぜ?
なぁ?弾」
鳴海さんに声を掛けられるも
弾は項垂れたまま。
そんな弾の様子に鳴海さんは
困ったように眉をひそめ、
ライドウに顔を寄せる。
「ラジヲ塔からずっとあの様子だ。
……弾のやつ」
まあ、仕方ないですよ、鳴海さん。
でもそろそろうっとおしい。
どっかの親善大使みたいに
逆切れしてくれたほうがいいや。
「アバドン王になれなかったことで……
かなり気落ちしちまってる。
一人にしておけないしな。
無理矢理、連れて来ちまった……。
ほら、タヱちゃんも。
飲めば少しは落ち着くぜ?
ここに来るまでに怖い目に遭ったろ?
バケモノの中、来たんだもんね……」
「ありがとう、鳴海さん。
あたしは大丈夫よ……でも……
さっきラヂヲで聞いたわ。
あの『イナゴ』みたいなバケモノ……
帝都中のあちこちで暴れ回ったみたい。
たくさんの怪我人や……死人まで出たって」
タヱさんのその言葉が弾に突き刺さる。
「今はもう、どっかに飛んでっちゃって
帝都は静かになってるけど……
まだ空には、バケモノが出てきた……
赤い穴が残っているのよね……
なんだか、じっと見られているみたい。
今のところ何かがあるとかじゃないけど……
それがかえって不気味なのよ。
生殺しっていうか……すごく嫌な感じ」
「そうだな……珈琲豆を買いに行く途中、
筑土町の人の様子……なんか変だったしさ」
よくこの状況で買いに行ったな……近所とはいえ。
「空を見て恨み言を言っていた人もいる……
あの赤い穴……そこにあるだけで害なんだ。
放っておいたら帝都の人たち……
見んな参っちまうぜ」
弾は先ほどからずっと俯いたまま
黙っている。
「でも……取り除く方法とかってあるの?
『空に開いた穴』なんだぜ……?」
「……ひとつだけ鍵はあるわ。
鍵というより……賭けに近いけれど」
「それって……さっきの話?
ライドウが寝てたときに話してくれた……」
え?なになに!?
「槻賀多村の……『わらべ唄』が
どうとかいう……」
「そうよ……そのことで話をしたくて
あのイナゴのバケモノの群れの中……
あたし、鳴海探偵事務所まで
来たんですもの……。
槻賀多村に行ったときに
地元に伝わる、わらべ唄を知ったの。
帝都のイナゴのバケモノの騒ぎ……
今に至る過程って……
槻賀多村の、わらべ唄の歌詞……
その内容そのものだって気づいたの」
「なんか話が見えないけど……
どういうことなの……?」
鳴海さんがタヱさんに訊ねる。
「順を追って説明させて。
自信がない部分もあるし……。
捜査会議だったわよね?
鳴海さんとライドウくんがやってる……。
捜査会議で、槻賀多村のわらべ唄と
帝都のバケモノ騒ぎの関係を説明するわ。
ねぇライドウくんって
槻賀多村のわらべ唄、知ってるでしょ?
村の女の子達に教わってるの、
わたし、見てたわ。
ライドウくん、協力してね。
……それじゃあ捜査会議を始めるわ。
ライドウくん、よろしくって?」
よろしくないです。
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